はじめに

本記事は『ドラゴンクエストX オンライン』の主にVer.4に関する批判的な内容を含みます。

閲覧は自己責任でお願いいたします。

また、執筆に際して部分的にChatGPTを利用しています。ChatGPTの出力内容は記述していませんが、出力に対する私の入力(問いかけへの返答)は一部をそのまま使用しています。

察してくれるよねオンライン 失われし五つの種族

目次


ふたつの姿を持つ主人公 ——僕は今「どちら」なのか——

『ドラゴンクエストⅩ 目覚めし五つの種族 オンライン』として始まったDQ10が、主人公に何の種族であることを要求しているのかわからない

 私が本作の、特にVer.4で感じる問題点はこれです。

 私はVer.4をプレイした当時、プレイ感想に以下のような記述をしました。

Ver.4.0

ところで今の主人公って周囲の人からウェディと人間のどちらに見えているんでしょうね? 私は4.0もずっとウェディでプレイしているのですが、時渡りは人間(エテーネの民)にしかできないはずで、これは伏線なのか、しばらく時渡り展開が続くけど人間でプレイすることを強いないための都合なのか……。

2023/09/15 08:36:24

Ver.4.2

ウェディの姿でプレイしているから「エテーネの民」ではないはずなのに何の問題もなく時渡りできている理由も、まだちょっと悩んでいます。「長期間に渡って人間でプレイすることを強いないための都合」と受け取っていいのか、そう見せかけて実は何かの伏線ではないのか……。

2023/09/23 18:59:14

Ver.4.3

マリッチもかわいいのであの手のデザインが全体的にかわいいです。で相変わらず疑問の「ウェディで時渡りしている」問題ですが、それでも魔神機には問題なく「エテーネ人」として認識されるようで、でも「エテーネ人には見えない」ともしっかり言及されるので、やっぱりどっちだ……。

2023/09/26 09:07:35

 そして、最終的に以下のように結論づけます。

Ver.4.4

普段と言ったとおり、そろそろ「どうもVer.4のシナリオは主人公が人間である前提で進んでいるっぽいな」と察せてきたので、さすがにウェディだと違和感が出てきて、今は一旦人間に戻っています。ですが酒場登録する前にはほぼ必ずウェディに戻っています。こだわりです。

2023/09/28 20:14:06

ずっと気にしてきた「ウェディで時渡りしている」問題は、「五種族から人間への変更を強制はしないが、シナリオは人間前提の流れになっている」で決着がつきそうでしょうか。Ver.4.3でも人間であることが進行条件のクエストありましたしね。

2023/09/28 20:16:36

 多くのプレイヤーは、これを「おまえが悪い。察しが悪いし、人にも訊かない」と断じるでしょうか?

 確かに私は察しが悪いし誰にも何も聞きませんでしたが、問題の本質はそれでしょうか

 Ver.1でメインストーリーの舞台となった「過去のグレン城下町」に行くときには、必ず人間の姿でなければ出発すらできません。五種族の姿で移動しようとすると、大陸間鉄道公社の駅員から以下のようにストップがかかります。

「なんと…… ????行きでございますか?

「くわしいことは存じませんが その行き先へ
 ご案内できるのは エテーネの民の方のみと
 聞いております。

「サポート仲間は どの種族でも かまいませんが
 お客様自身は人間でないと ご案内できません。
 他の行き先を お選びください。

 つまり、ここで「エテーネの民(人間)以外には時渡りができない」と明言されているわけです。

「Ver.4ではエテーネルキューブを使っているから関係ない」と解釈しようにも、今度はVer.4.3で主人公の兄弟姉妹がウルタ皇女に言った「エテーネルキューブはエテーネ人が持つ時渡りのチカラにしか反応しない」という言葉が邪魔をします。

 では、ウェディ(五種族)のままでもエテーネルキューブを使って時渡りができるのはなぜでしょうか?

 答えは長期にわたって人間でプレイすることを強いないための都合です。

 とはいえ、「ゲームの都合」自体は仕方ないといえば仕方ありません。ここを責めても何にもならないでしょう。500年前のオーグリード大陸にしても、「サポート仲間の種族は関係ない」というのだってゲームの都合です。

 では改めて、悪いのは何でしょうか?

察しが悪い? ——もっと注意深い観察を——

 察しの悪いプレイヤーが悪いでしょうか?

「時渡りの物語なのはわかるはずなんだから、早く人間に戻らない者が悪い」?

 では、Ver.4の開始時に賢者ホーローから届く手紙の内容を見てみましょう。

◯◯◯◯◯◯よ。賢者ホーローじゃ。
竜族の世界での冒険お疲れさんじゃった。
ここらでちょっと話でもせんか?
おぬしの冒険にわしも興味があるんじゃ。
グランゼドーラ王国の真ん中の広場の
北側にあるベンチに座って
待っててくれるかのう。しかと頼んだぞ。

 ……どうでしょう? この内容から「なるほど、次は時渡りの物語か。じゃあ展開に合わせて人間で向かおう」となるでしょうか?

 少なくとも私はなるわけがないと思います。

 そして、グランゼドーラ城下町で賢者ホーローに会うと、そのイベントのうちにエテーネルキューブを用いた時渡りが発動し、主人公は過去のドミネウス邸と未来のレンダーシア大陸を訪れ、未来では時の妖精キュルルから「エテーネルキューブはエテーネの民(主人公の人間の姿)が持つ時渡りのチカラによって作動する」と聞かされて、現代に帰還します。

 つまり、初めてエテーネルキューブが発動して最初の矛盾が発生する前に「時渡りの物語である」と察して人間になっておくことはほぼ不可能なのです。

人に訊かないのが悪い? ——もっと慎重なプレイを——

「ほかにも察する手段があるはずだ」という意見はもちろんあるでしょう。

 答えは明解、誰かに訊けばいいのです、「Ver.4ってどんな話ですか?」と。

 どういう準備をして始めればいいかを事前に知っておけば、「話を聞きたいと言われて賢者ホーローと待ち合わせたら、時を渡って過去や未来に行ってきた。今の自分は五種族なのに?」などという、設定と矛盾する事態は起こりません。

 ……これも明解です、「内容を誰かに聞いてから始めないと違和感が出る物語って何ですか?」

 人から聞く以外にも方法はありますね。

 公式の情報発信番組「DQXTV」や、そこで公開されたプロモーション映像、大型アップデート予告映像をあらかじめ観ておけばいいのです。目覚めし冒険者の広場のトピックスから大型アップデート情報を読み込んでおくのもいいでしょう。そうすればVer.4のタイトルが『5000年の旅路 遥かなる故郷へ』であることがわかるから、「時渡りが関わる話かな」となんとなく察するのは容易です。

 ですが、それは全プレイヤーに要求するべきことでしょうか?

 リアルタイムでプレイしていた方には、さしたる負担でもないでしょう。むしろ次のストーリーが気になって、何も言われなくても観に行ったかもしれません。

 では、私のような後発プレイヤーにとっては?

 バージョンの節目ごとに、「よし、次のシナリオに進む前に予告映像を観よう、大型アップデート情報を読もう」と情報を集める遊び方を、誰もがするでしょうか? それを誰もに要求すべきでしょうか?

 何が悪いのかはもうはっきりしたと思います。

 Ver.4は冒頭から、人間と五種族のふたつの姿を持つ主人公に対して丁寧さを欠いており、よってそれを操作しているプレイヤーが没入できる作りにもなっていない。

善意に甘えたオンライン ——「オススメです」が飛び交う世界——

 今では古参プレイヤーが新規プレイヤーに「Ver.4は人間の姿でプレイするのがオススメですよ!」とよく言いますね。

 これは完全に善意であり、プレイヤー間の交流としても美しいかもしれません。「ありがとう」が飛び交う世界です。

 しかし、本バージョンはその善意がなければ違和感が生まれる構造になっている

 言ってしまえば、Ver.4冒頭の展開は「時渡りの物語なんだから、プレイヤーは自発的に人間になってくれるだろう。だからストーリーも『主人公は今この瞬間も常に人間である』という前提で話を進めよう」という制作陣の甘えです。

 私はVer.4リリース当時の事情を知りません。もしかしたら「Ver.4は時渡りの物語。皆さんもぜひ人間の姿でプレイしてみてください」といった発言があったかもしれません。

 ですがその前提を提示するのは、制作陣や先発のプレイヤーではなく「物語そのもの」であるべきではないでしょうか?

誰がそれを語るか ——何よりも雄弁な語り手——

 では、どうすれば「物語そのもの」が前提を提示できたのかをすこし考えます。

 ただし、これは「考察」や「改善案の提起」というよりも、ほとんど「妄想」の域です。

 まず、前述した賢者ホーローからの手紙に、何らかの形で「人間の姿で来てほしい」との旨を加えます。理由は違和感さえなければ何でもいいでしょう。

 この賢者ホーローとの待ち合わせだけは、必ず人間の姿でないと進行しないようにします

 そこから過去のドミネウス邸と未来のレンダーシア大陸のイベントを行います。ここに教会やダーマの神殿出張所はありませんから、主人公は人間として過去と未来を訪れて、人間のまま現代に帰ってきます。キュルルから「エテーネルキューブが作動したのはエテーネの民の時渡りのチカラを用いたから」と言われることに矛盾はありません。

 賢者ルシェンダへの報告後は、「再び過去の世界へ向かう」ことが目標になります。エネルギー切れを起こしたエテーネルキューブにアルケミダストのエナジーをチャージするタイミングででも、キュルルに「すでに話しているとおり、時間跳躍にはエテーネの民が持つ時渡りのチカラが必要」とひとこと言わせておきます。

 けれど、以降のエテーネルキューブ起動=時渡りは、人間と五種族どちらの姿であっても進行するようにします

 これで「長期にわたって人間でプレイすることは強いないが、物語は主人公が人間であることを前提に進んでいく」という展開の下地が整うのではないでしょうか。

 この流れなら、プレイヤーは「今は物語が人間であることを要求している。じゃあ人間の姿になろう」と行動するかもしれません。

 もちろん、「そんなこと知らない、五種族の姿が好きだからこのまま進む」とか「エテーネルキューブの動作失敗が見たくて五種族のまま進んでみたら問題なく進行してしまった」ということは起こりうるでしょう。矛盾を完全に消すことは不可能です。

 けれど、「善意」や「察し」に甘えて何も語らないよりは、物語側が前提を教えてくれるほうがいいのではないでしょうか。

主人公はプレイヤーの分身 ——僕は今「この姿」だ——

 Ver.3で実装されたエンドコンテンツ「常闇の聖戦」の案内役プリネラ管理端末Q485の台詞に以下のようなものがあります。

 なぜこの台詞だけピンポイントでスクリーンショットが出てくるかというと、嬉しかったので残しておいたからです。

 自分に見えている主人公の姿と周囲から見えている主人公の姿が一致していることが嬉しかったのです。

 察せず、誰にも聞かず、何も見ず、よって何も知らずにストーリーを進めたメインデータは、Ver.4でそれがずっと一致しなかった。

 自分は今ウェディなのに、時渡りができる、エテーネの民と言われる、エテーネ人の生体情報と完全に合致と判定される。

 だから、順番的には前後して会いに行ったQ485(メインデータ)やプリネラ(サブデータ)の、ただ現在の姿を内部データとして判定して出力しているだけの台詞が、スクリーンショットを残すほどに嬉しかった。

 あの台詞のおかげで「自分は今、ウェディとして、ドワーフとしてここにいる」ということがわかったからです。

「自分が今何なのかわからない」というのは、Ver.4が顕著でしたが、ほかのバージョンでそれを感じないかというとそういうワケでもありません。シナリオ上はどちらでも構わないような場面でも「で、主人公は今どちらに見えている?」という疑問が不意に浮かぶことがあります。

「この物語は自分にウェディと人間どちらであることを期待しているんだろう」という感覚が拭えない。それこそ、Ver.2くらいから。

 Ver.1では人間の姿で500年前へ行った。Ver.2でアンルシア姫に「ウェナ諸島から来たのか」と言われた。Ver.4は人間前提だった。Ver.5は人間かウェディか人間型魔族かウェディ型魔族かまったくわからなかった。Ver.7はおそらくうっすらと人間前提だと思う。

 こうしてほしいという前提があるならはっきり言ってくれたらいいのにと、うっすらと、けれどずっと思っています。

 本記事執筆現在の次バージョンにあたるVer.7.4は、キュルルの故郷である「キューロピア」が舞台で、再び「時渡り」が話に関わる可能性が高そうです。

 主人公が人間か五種族かをはっきりさせてから話が進むでしょうか?

 10年以上メスの入らなかった箇所がいきなり変わるとも思えないので、正直、望み薄かなと思います。

あなたは物語の体現者 ——やるべきか、やらざるべきか——

 最近の私のタイムラインでは、「Ver.5はオンラインでやるべき展開じゃなかった」という話をよく目にします。

 今回の主旨から離れるのであまり深くは論じませんが、言われてみれば尤もな話です。「アストルティアにコンテンツがやまほどあるから、主人公を魔界に閉じ込めておくわけにはいかない。だから自由に行き来できるようにするけど、それを正史とすると『アストルティアの仲間との誤解による衝突』を描けないので、主人公はVer.5.2でヴェリナードに行った以外は一度もアストルティアに帰っていないし誰にも何も話していないことにする」、よく考えれば普通におかしな話です。

 それと同じく、「Ver.4も『ドラゴンクエストX』でやるべき展開じゃなかった」と私は感じています。

 DQ10の主人公には「人間と五種族のふたつの姿を持つ」という無二の特徴があります。

 それは主人公の特徴というだけでなく、同時に『ドラゴンクエストX』の特徴でもあるでしょう。

 ですが、Ver.4ではそれが剥奪されました

「主人公は時渡りのチカラを持つエテーネの民、すなわち人間である」という設定が無言のまま最優先され、五種族の姿も持っているという設定は無言のまま「存在しないもの」とされました

 五種族のままメインストーリーを楽しみたかったプレイヤーの気持ちも、主人公の大きな特徴も、「あなたは人間」とひと絡げにされました。

 物語が主人公やプレイヤーに対してもっと丁寧であれば、こんなふうには感じなかったかもしれません。

 けれど今となってはもうわかりません。Ver.4のメインストーリーはあの形で世に出てしまっている。

 一度確定した未来は変えられない。それこそ歴史にでも介入しないかぎりは

 まさにVer.4の展開ですね。

2025/05/10

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原作プレイ感想:Ver.1−6Ver.7以降

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