はじめに
この記事は「英雄の終曲 DQ10とMHWildsに見る主人公の尊厳」のこぼれ話です。
あちらで言及したDQ10 Ver.4.0のとある台詞について、それ単体で語れることがありそうだったので書くことにしました。
また、執筆に際して部分的にChatGPTを利用し、出力内容の一部を記述しています。
冒険者と王女のスケルツォ ——疑問に対する疑問——
目次
問題の発言
さっそく本題です。
私はこの台詞を「DQ10主人公の服装(=それを選んだプレイヤーのセンス)をイジる発言」として引用しました。
しかし、もしかするとそうではないのかもしれないという気もしています。
この発言は「文化や価値観がまったく異なる場所へ来たらしい」と示す台詞が盛大に滑っただけの可能性があるのです。
なぜ「滑った」と考えたのか、ひとつずつ綴ります。
個性的なファッション
あれが「文化や価値観がまったく異なる場所へ来た」ということを示す台詞だとすれば、問題は「この場面で主人公が何を着ているか」よりも、「主人公の視点でメレアーデの服装がどう見えるか」です。
メレアーデのこのドレスは、特段「完全な異文化のデザイン」ではないと考えられませんか?
どういうことかというと、つまりこれです。
主人公にも馴染みのある作中現代の人物、女王ディオーレのドレスとデザイン的な連続性があるんですよね。
服飾史には詳しくないので、ChatGPTにも聞きつつ調べました。
女王ディオーレのドレスは現実で言うと「バロック末期からロココ初期のヨーロッパ宮廷礼装ドレス」に近いそうです。
なるほど、門外漢にはよくわかりませんね。
メレアーデのドレスについても同じく調べました。
「ロココ後期フランス宮廷ドレスを簡略化して、ファンタジーアニメ風の“お姫様ドレス”に落とし込んだもの」とのこと。
なるほど、やっぱりよくわかりませんね。
とはいえ、ひとつ私の目にもわかる部分があります。
それが、スカート部分の前面にフリルで区切られた装飾があるという点。
物理的にどういう構造になっているかわからなかったので、これも聞きながら調べたのですが、まず装飾つきのペチコートを穿いて、その上に前の開いた無地のガウンまたはオーバースカートを着ているつくり……のようです。おそらく。
そして、両者のドレスについて調べる中で、同じ「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」という様式が出てきました。
比べてみると、確かにちょっとそれっぽい。
自分でもよくわかっていない服飾様式について長々と書きましたが、つまり何かというと、作中視点でもメレアーデの服装が「まったく異なる文化」に見えない以上、「あなたは私と違う個性的なファッションをしている」と言われても、プレイヤーは「どのあたりが?」と感じるのです。
どこのお店で買った?
もっとシンプルな話をしましょうか。
王族ってお店で既製服を買うんですか?
たぶん、買わないと思います。王室付きの仕立て屋とかがいて、素材も「王室御用達」の特別な店のもので、そうしてできあがったものを専門の仲介人か何かが王宮や邸宅まで持っていくのだと思います。
Ver.2.1のストーリークエスト「ユリア妃の願い」での「王家のマント」の流れも、確かそんな感じでしたよね(「仲介人」は主人公でしたが)。
だとすると、王族であるメレアーデが「何か見慣れない様式の服を着た人がいるな」と感じたときにふとこぼしてしまうひと言って、以下のようなものになりませんか?
「どこの仕立て屋であつらえたのかしら?」
つまり「どこのお店で買ったのかしら?」だと、王族らしからぬ庶民的な印象になりすぎるのです。
いくらメレアーデが気さくな人柄とはいえ、それを理由に裁縫の店で既製服を買っているなんてことはないでしょうから、やはり言葉の選択に問題があると感じます。
シンプルにして致命的
「あなたのファッションも
ずいぶんと 個性的で 興味深いわ。
どこのお店で 買ったのかしら?
やはりこの台詞には問題があったと考えられます。
ひとつは、「異文化を示す台詞」と考えるにも、メレアーデのキャラクターデザイン段階で違和感があること。
もうひとつが、メレアーデの「王族としての立場」を失念していること。
その結果、一部のプレイヤーはこの発言を「あぁ、いつもの主人公イジりか」としか捉えなかったのでした。
……件の論考で語ったとおり、「主人公イジり」が「いつもの」になっている時点で、けっこうな問題なんですけれどね。
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